目 的

 福島県矢祭町や鹿児島県阿久根市で議員の日当制が、マスコミで報道され、
 話題となっていま す。このことにより経費削減となりますが、私たちのまちづくり
 にとって本当に良いことなのでしょうか。
 日当制とした場合、先に述べました「議員の仕事」の内どこまでを日当制の対象
 とするのか
が重要な問題ではないかと考えます。
 
 本会議のみを議員報酬の対象とすれば、経費が大幅に削減できるとされていま
 すが、その場合の弊害について、マスコミは報道していないように思いますが大
 丈夫でしょうか。
 市民の皆さんからの要望は、自治会長やPTA会長や市民会議の様な組織など
 にやってもらえば済むのでしょうか。
  
 行政への要望、提案は思いつきや、付け焼き刃では、執行部や市職員に「出来
  ません」の理由を簡単に言われてしまいます。
 
 憲法では、第8章の地方自治で第93条に、議会を設置し住民による選挙で議
  員を選ぶ代表制の民主主義を謳っております。
 今、この姿を変えようという動きが始まったと考えています。
 その動きの1つに、議員報酬があると思います。
 
 議会での権限や、議員の責務、本会議や委員会運営などについての詳細は専
  門書に譲りますが議員が日常どの様な仕事をしているのかについては、
 員の仕事
」,「鳥居の年間活動記録-1年目」鳥居の年間活動記録-12年目」を
ご覧下さい。
 市議会議員でなくとも出来るという部分もあると思いますが、生計が成り立たなく
ても、その良心だけで健全な議会活動、議員活動をしなさいと言われてもなかなか
困難だと思います。
 そんなことは議員になる前に、承知して議員をやっているのだから甘えたことを
言うなと、時々言われます。 
 しかし、私が、この様な説明をしなくても、既にご存知だったのでしょうか。
 私は、甘えたことを言っているのではなく、事実を知って頂いた上で、この先、議員や議会がどうあるべきかを議論する必要があると思い、考えをまとめました。
 

 なぜなら、「議員の仕事」でも述べましたが、全国市議会議長会の集まりで、私と
同じ訴えをしている議長が大勢いました。また同僚の飯能市議会議員と話をして
も、多くの議員が同じ意見でした。従って、私は甘えた意見を述べているとは思え
ませんので、私の責任で私のホームページにアップすることにしました。 

 議会機能、議員の役割が低下した場合、最終的に困るのは市民の皆さんではな
 いかと思います。

 マスコミに振り回されず、冷静に見て頂きたいと思います。
 議会制民主主義の崩壊に繋がる危険性を感じて頂きたいのです


 1. 議員活動で何を日当の対象とするのか
       
  議員報酬を日当制とした場合の支給対象について、本会議の開催日については
、 どこの市、町でも、支給対象と考えていますので、それ以外の項目につい述べま
  す。
 
 1) 定例会前の代表者会議、全員協議会、議会運営委員会など
  (議会関係の会議)

  @ 代表者会議では、議案の概要や議案数を知らされ定例会全体を把握し、議
      会で取り扱う案件か否か話し合い、議会で取り扱う場合は議会運営委員会で
      扱うことになります。
      また、それぞれの会派に持ち帰り、議員の意見を確認し、意見調整をした上
      で、再度集まり会派の意見を報告する場合もあります。
       回数は、年に10〜15回程度です。議会開会中に、本会議を休憩して開催
      される場合もあり、議会閉会中に開催される場合もあります。
    
    日当制となった場合議論が必要なのは、閉会中の代表者会議についてど
     うするのかだと思います。
     代表者会議が不要だと言うことになると、議会運営委員会か全員協議会と言
     うことになると思います。議会運営委員会は議会運営以外の協議事項として
     は、会議規則、委員会等に関する条例や議長からの諮問に関することしか協
     議できないことが地方自治法で決められています。
     また、現在の議会運営委員会は全会派から出ているとも限りませんので情報
     不足の議員が出たり、円滑な運営が困難になるのではないかと考えます。
     一方、全員協議会で話し合うとなると、話し合いや意見調整に時間が掛かり逆
     に効率が悪くなると考えますので、代表者会議は残し支払いの対象とすべき
     であると考えます。
   
  A 全員協議会では、 定例会に提出予定の議案内容の概要や市政の動き、問
     題点、大きな影響のある事案、議会からの要求事項とか、過去に要求してい
     た案件の回答などが説明されたり、協議したりしています。また、執行部と議
     会、議長と議員、議員同士などの意見交換も行われているので重要です。
     議案に対しての質疑は、本議会で質疑の日が設けてありますので、ここでは
     執行部からの説明が中心となり、どうしても、本議会の質疑以前に全員が知
     っておきたい概要を確認する程度です。
    回数は年に数回です。
    開催は定例会が開会される前の閉会中に行われれるのが普通ですが、その
    他にも開催されることもあります。
    
    日当制にした場合は議論が必要かと思いますが、ここで細かい事まで決めよ
    うとすると意見調整に、非常に時間がかかり効率が悪くなると言う意見もあり
     ますが、廃止となると開会前に一度も全員が集まらずに、いきなり本会議では
    情報不足、意見交換が出来ないなど無理があると考えます。
    私は執行部や議員間との協議を密にするために、議会前だけでなくもっと回
     数を増やすべきであると考えます。
    全員協議会は、執行部、議員の情報交換の場ですから、支払いの対象にする
    べきだと考えます。
  
   B 議会運営委員会は、議会の会期日程や請願、意見書などの取り扱い方法
      議員提出議 案や緊急質問の取り扱い方法など議会運営上のことについ
      て協議や意見調整をします。
      また、特定の案件について継続審査として調査、協議をする場合もありま
       す。
      飯能市議会では、一般質問の一問一答制導入について継続審査で休会
       中に協議しました。
      回数は年に10回程度です。議会開会中に、本会議を休憩して開催される
      場合もあり、議会閉会中に開催される場合もあります。議会運営委員会は
      議会運営上の事を決めるので強い権限がある重要な委員会です。
    
      日当制となった場合、議論が必要なのは、閉会中の議会運営委員会につ
      いて、どうするのかだと思いますが、私は、非常に重要な委員会ですから支
      払い対象とすべきだと考えます。
   
  C 委員長報告のまとめ  これは、各常任委員会や特別委員会などで審査さ
     れた概要や結果について委員長がまとめ、本会議場で報告するものです。
    常任委員会、特別委員会ともに会議録を元に委員長がまとめるのですが、定
    例会における常任委員長の報告は、概ね10〜30分程度です。原稿をまとめ
    るのには、1〜3日間程度必要で通常年に4回あります。
    特別委員会は、飯能市では現在、決算特別委員会のみですが、毎年9月定例
    会閉会後に9月下旬〜11月上旬に4〜5日間審査が行われます。この委員
     長報告は議場で約40〜60分かかります。
    そのまとめには、1日5〜10時間かけ、数日かかります。原稿の書き直し、練り
    直し、会議録確認の他、委員長質疑に対する答弁のための資料整理などもあ
    り、かなり大変な作業です。
    
    日当制となった場合この部分を認めてもらえないと、負荷、責任の重さを考
    えると無償ボランティアでは、とても無理だと思います。もしそうなった場合は
、    議会事務局に相当大きな負担がかかると思います。しかし、議会事務局には
    現在その為の要員はいませんので経費はかなりアップすると思います。
    しかし、委員会の長が、自分の委員会で審査したり、採決した結果について自
    分でまとめないのは本末転倒です。また。委員長に対して委員会に所属以外
    の議員から質疑がある場合もあり、会議録など精読しておく必要があることか
    ら日当制でも、相応の日数に対して支給対象にすべきであると思います。
 
  D 市議会便り編集委員会 これは定例会、臨時会で審議された内容や議決結
    果、一般質問の要点
    などをまとめ、市民の皆様にお伝えするための公費による「議会報告書」を編
    集する委員会です。
    特定の議員、会派に偏らない様、公平な内容になるように配慮しながら、市民
    の皆様に読み易いようにと文章やレイアウト、写真などについて協議していま
    す。
    1定例会で3回程度。年間12回程度会議をしています。委員の人数は、現在
    6名です。 
    
    日当制となった場合支給対象として認めてもらえないと、議会事務局だけで
    作業することになる
    と思いますが、事務局職員の人数を増やす必要があり、その分経費アップに
     なりす。
    また、議員からの意見を聞いて回るなど調整にも多くの時間が必要になると思
    います。
    しかし、そもそも市議会便りの発行目的は、市議会の動きを議会として市民の
    皆さんに報告することですから、本来議員が自らの手で作成するものだと考え
    ますので、日当制になった場合でも支給の対象にすべきであると考えます。
 
 2)議会外の委員会、審議会、協議会など
    現在、議会以外の委員会、審議会、協議会(以下審議会などに統一)などに
、   議会選出の委員
    として出席しているものには、都市計画審議会、奨学生選考委員会、青少年
     問題協議会、児童福祉審議会、市営住宅審議会、環境審議会、国民健康保険
    運営審議会など約30種類位あります
    議員はこれらに、それぞれに1〜6名参加し、1議員で1〜6つの審議会など
     に属しています。
    
    これらの審議会などへの議員参加については意見が二分しています。
    1つは、これらの審議会などに議員が参加し、審査、協議することは本会議前
    に結論をまとめてしまうので、本会議や常任委員会に対し影響があり、議会が
    軽視されるから参加しない方がよい。
    もう一方の意見は、これらの審議会などに市民だけで参加していると、市民は
    詳しい情報をもって いないので、執行部の説明を聞くだけで深い議論が出来
    ず、結論が執行部側に誘導されたものになりやすいので、市議会議員が参加
    するべきだと言う意見です。
    これについては、いずれの言い分も正しいと思います。私個人としては、議員
    になり立ての頃は、前者の意見で入るべきでは無いと考えていましたが、最近
    は、審議会などで市民の方々の発言の様子を見ていますと、やはり、市民の
     方々だけでは突っ込んだ議論を展開するのは困難ではないかなと思います。
 
    また、選ばれる市民の選出方法でも応募方式だとしても、どの審議会でも特定
    の人しか応募されないとか、人選にも充分な配慮や市民の意識向上が必要だ
    と思います。
   従って現状では、重要な審議会などは市議会議員が参加するべきだと思ってい
   ます。
    
    議員報酬が日当制となった場合これらも日当制にするのか議論の必要が
    あると思います。
    しかし、これらについても、その内容、審査日数、まとめや報告書の作成は誰
    がやっているのか、それについての責任の重さなどについても理解した上で
、    議論する必要があります。
    また、地方自治法や他の関連法令等の内容にまで充分踏み込んでおく必要
     があります。
    
 3) 市政に対する提案などのための先進地視察や資料などの調査
    市政への提案で理解しやすいのは、一般質問の場合だと思いますので、それ
    を例にしてまとめてみます。
    議会で一般質問をするためには平素から様々な分野への関心や勉強・自己
    研鑽や原稿書きなどが必要で、質問するまでに、かなりの準備が必要です。
    私の場合、テーマを決めるのは1ヶ月以上前、長ければ半年位前から資料を
    取っておきます。 
    そして、原稿書きだけでも、一日数時間で数日を要しています。
        
    その準備には、関連の法律や、新聞、雑誌、専門書などの資料を読んだりイン
    ターネットで情報を入手したり専門家に意見を聞いたり、過去の経過などを調
    べたりするとか、より良いまちづくりのため、自分で考えていたことや、似たこと
    が他の市町村で既に行われている場合その市町村に行って、その目的、人的
    ・予算的な投入、日程、国、県などの支援、他の援助、関係者の話や住民の
    反応や期待していた以上の効果、期待以下の事案などの他、現場、現物など
    は現地視察をしなければ分かりません。この様な準備がなければとても議場
     での一般質問や窓口での要望はできません。
    また、現地視察に行った場合には、目的以外の、予想外の事を学ぶことがで
     きる場合も多々あります。例えば、市職員の対応、市役所庁舎内の配布物、
     駅構内の観光案内所、道路案内の整備状況、ゴミ集積所の箱設置状況など
     様々な分野で飯能市に活かせるケースも多くあります。これらのことも一般質
    問のネタとなっている場合も少なくありません。 
   
    日当制となった場合、これらの様々な準備は当然、一般質問をする以前にや
    らなくてはなりませんので、閉会中の活動となります。これらの資料集め、調査
    は絶対に必要ですから、何らかの方策の元、日当制の対象になるようにする
     べきです。
    日当制となって、これらの活動が認められないとなると、中身のない一般質問
    ばかりでなく、議会、議員活動や機能の低下になるのではないでしょうか。
        
 4) 個人や各種団体の要望事項を聞く
       
    現在、市民の方から議員に対しての要望は大きく分けて、二通りあります。
    1つは、全く個人的な問題。2つ目は、地域の自治会や特定の団体(商店街
、   サークル活動団体、スポーツ団体、学校・福祉関係の団体など)からの要望
    などがあります。
    これらの地域や各種の団体の問題点を解決する優先順位や解決策について
    の協議、意見集約はどの様にすればよいのでしょうか。
   
    飯能市内には11地区に135の自治会があります。それぞれの地区に、様
    々な問題や要望事項があります。
    山間地域では、未給水(上水道が敷設されていない)の問題、少子・高齢者、
    林業の問題。
    市街地には、活性化対策。精明、加治地区では遊休農地、農業後継者問題
、    下水道整備など地区毎の様々な問題や全国的な国民健康保険、介護問題、
    保育所問題、全市的な道路、岩沢南、北、双柳南部の区画整理問題などあり
    ます。
    
    市議会議員は特定の地域、団体の利益のために働くべきではなく、市や市民
    全体の利益を考えなくてはいけないのだから、地域や個人の問題には日当支
    給は、不要だとなると、議員は自分の 考えている、市政に対する提案だけ専
    念してやれば良いのですからある意味楽になります。
    しかし、地域の人達にしてみれば、やはり自分たちの地域は他地区と比べる
    と、この点は遅れているので、何とか他の地区並みにして欲しいと考えます。
    また、雨水排水や施設の老朽化や破損してきたので、改修して欲しいと思っ
    ている時、直接市の窓口に要望された場合には、135もある自治会や、公的
    私的を問わず多数ある団体の代表の方々、それに個人の方が要望を訴えた
    ら、市役所の窓口に大勢の人が殺到することは容易に想像していただけると
    思います。
    
    議員の場合は、市内の広い範囲の情報を持っていますので、自分で問題の軽
    重がある程度判断出来るのです。市民の方や団体の当事者の方は、自分に
     影響している問題点のみが大きな問題と捉えがちです。
    そして、大至急やって欲しいと言われますが、大きい問題ほど費用、時間が掛
    かりますので、年度当初予算から盛り込まれていないと実施できません。
    また、年度予算に盛り込むには、市の3ヶ年の実施計画に計上されている必
     要があるのです。この実施計画は毎年見直され、議員全員に配布されますの
    で、計画の内容や予算について理解することができます。
    
    現在、日本の地方自治の制度は、市長と議会側との2元制度で行われていま
    すが、予算の調製、執行については市長側が握っています。市議会議員とし
    ては、市民要望が個人、団体を問わず行政側に要望したり、実施困難な場合
    は問題点の説明を受けながら、他市の例を挙げたりして解決に向けた努力を
     しています。
        
    日当制となった場合、
議会の機能低下分を誰が補うのかと言うことは非常に
    大切なことです。
    この点を市民の側としては、民主主義の原点である民意の反映について、ど
    の様にするのか、例えばそれぞれの地区で、それぞれの問題点をそれぞれ
    にまとめ、要望したり、提出するだけでは補えません。
    地域や個人要望を、ただ伝えるだけでなく法令や、過去の経緯などを調べるな
    ど、専門的な知識や、情報が必要な場合も多いものです。
    また、市民要望には、個人情報に関わる案件もあります。議員には、公表する
    と不利益を与える場合には守秘義務も課せられてもいます。
    
    この市民要望を今までの様に、議員がやるのか、また、自分たちで直接訴え
     て行くのかいずれでも良いと思いますが、日当制にした場合、一番不明確な
    部分になるのではないかと思います。
   
 なぜなら、地方議員の活動の最も根っこ(基礎)の部分であるからです

   
 5) 市や地域の行事、式典への参加
   
・市の行事、式典  : おめでとう飯能、出初め式、成人式、おくむさし駅伝、
      卒業式、入学式、新緑ツーデーマーチ、総合防災訓練など
    ・地域の行事、式典 : 消防後援会、慰労会、各地区まちづくり推進委員会の
      事業、自主防災訓練、地区体育祭など
      市の行事、式典は議長や副議長が代表で出席すれば良いかも知れません
      また、地域の行事、式典は出席しなくても良いかも知れませんが、この様な
      場所で、自治会長さんや市民の方からの要望事項をお聞きすることが多い
      のも事実です。
     
    日当制にした場合これらは殆ど出席が不要にしても良いと思います。
    議会の代表として出席、参加する場合は、議長、副議長、常任委員長、広域
    議会議長などの代表だけ出席、参加するという方法もあると思います。。
      
   22. 財政面や市民参加などから見た場合

  「議員の仕事」、「鳥居の年間活動記録」を見ていただけば分かるように、平日
  休日を問わず、かなり多岐に渡り、仕事をしています。
  また、「議員の仕事」には書き切れませんでしたが、議会活動、議事運営に関
  する決まり事も多くありそれらに関する専門書や全国標準に準じた「飯能市議
  会会議規則」などを読んだり、様々なデータや、資料を見て次の一般質問、執
  行部への提言や議会活動を行っているのです。
  この様な(自己啓発に対する)時間は、日当制の場合多分、対象外となるので
  しょう。
  議員報酬を日当制にした場合、上記1)〜3)を議員活動として認められないと
  なれば、議員の活動や議会の権限や機能が大幅に低下することになると思い
  ます。
 
  そこで次に、議員報酬を日当制にした場合、財政面の効果と、議員活動の低
  下分を市民団体や市民会議などで行った場合を検証してみます。 

1)行財政改革、財政面から見た場合
 
  議員報酬を日当制にした場合、本会議のみが支給対象となると、議員活動が
  縮小し本来の議会における役割、責務までが大幅に低下することについてこ
  れまでに述べて来ましたが、それは一体誰に利益がもたされるのでしょうか。

 
  議員報酬の日当制の大きな目的は、行財政改革であると思います。
  行財政改革を求める場合には、次の2通りの方法があります。
  1つは、行政サービスは今と同程度としてコストを下げる方法。
  2つ目はコストは現状のままで行政サービスを今以上に上げる方法です。
 
  議員の報酬削減は、1つ目のケースですが、この場合の条件は、議員の報酬
  (コスト)を下げて議員よる行政サービスの低下があったのでは機能麻痺、市行
  政、施策に停滞、後退が生じてしまいますので、市民参加にて対応する件は、
  2)行政への市民参加で述べます。


  議会における行財政改革の究極的な状況は、議員が0人の議会の廃止です
  が、その場合を例にして考えて見ましょう。
  (飯能市は現在議員が21人ですから、約半分の10人にした場合は、この検
  証の効果が半分になります)
   
  もし仮に、議員を全て廃止した場合、報酬を0円にしたとすると、市全体の予算
  総額4〜500億円
から見れば0.3%程度です。
  判りやすくするために、例で言えば10万円のうち約300円と言うことです。 
  (議員が21人の場合ですから、半分の
10〜11人となれば、150円程度です)
  (内訳は、期末手当が4.1ヶ月なので38.5万円×16.1ヶ月×21人=1.3億円÷500億円/年予
  算=0.3%)

  
  また、日当制にして議員活動を削減した場合に、それを補うシステムを早急に
  考える必要があります。議員を0人とした場合でも、議会事務局職員は市の職
  員ですから、退職させることは出来ませんし、逆に市民会議などとした場合、素
  人の市民の方が大半ですから議会事務局の負担が増え、大幅に増員しなけれ
  ばならなくなると思います。

  それに、憲法、地方自治法などでどうしても削減できない議員活動も多数あり
  ます。
  これらの事を総合的に考えて、その効果額の大小やマイナス面との比較で市
  民の皆さんが判断して頂きたいと思います。

 

2)行政への市民参加では
 
  議会改革は当然必要ですが、議会改革に求められるものは、議会の弱体化で
  は無いはずです。
  しかし、議会が弱体化すれば、市政運営は、市の執行部中心の考えで進めら
  れであろうことは先に述べました。
  しかし、日当制にした場合、支給対象や額にもよりますが、目的は行財政改革
  でしょうから議会が弱体化することは明らかです。

  その分を、市民参加で補った場合について検証して見ます。

 @ 
市民の行政参加では、こんな声もあります。
             
・・・「執行部主導の市政運営となる。」
  ある審議会に参加していた市民の方からの声ですが、専門的な事柄が多く、理
  解できない内容が多くあった。また検討事案に対して、過去に議会、執行部側
  でどの様なやり取り、提案がなされて来たのか判らない。しかし、最初から学
  んでいると、とても時間が足りないので、執行部側の説明を信用せざるを得な
  かった
と言うことです。
  執行部側に都合の良い情報しか教えてもらえない可能性もあるかも知れませ
  ん。
 
 A行政運営に市民参加する場合の人数について
  人数の多い、少ないで、それぞれ長所、短所があります。これらも考慮しておく
  必要があります。
  多い人数で運営する場合・・長所は広い地域、広い年齢層から広い意見が得
  られる、その反面、地域や所属団体のエゴになりやすく、意見がまとまりにくい。
  適任者がリーダーにならないと機能しなくなる。 様々な職種の人がいるので
  日程、時間の都合が付かなく欠席者が多くなる。従って意見をまとめるのに
  時間がかかる。
  少ない人数で運営する場合・・長所は発言が自由にしやすい。時間、日程の調
  整が容易。また、議題、テーマへ集中した議論ができる。
  その反面、人数の少なさから幅広い知識や情報が不足となり、チェック機能や
  提案、審議内容などが甘くなる。
                      
 B行政運営に市民参加する人材、人選について
  これも重要なことだと思います。市が審議会などを設置する際、その委員を
  集めますが、市側から指名で依頼される場合と、公に募集する場合とありま
  す。
  しかし、いずれの方法にしても、どの審議会の委員の顔ぶれも、ほとんど同じ
  人で構成されていたり、何年経っても代わり映えしない感じがします。
  この点については、日当制にした場合、より一層市民の側に市政に対する関
  心を持って頂き、
  行政が他人任せにならないようにすることも重要なことです。 
  その対策として、市では「市民討議会」の人選を無作為抽出で50人に委員を
  依頼していますがこの動向に注目していきたいと思います。(市政への関心
  度、情報や知識、時間的密度・スピード感など)
  いずれにしても、まとめ役・リーダーの人選では、市側に対する距離感が重
  要だと思います。

  市民の議会参加について関連したことでもう一点
 C土、日、夜間議会を開催して市民に開かれた議会をと言う意見について、飯
  能市議会でも、議論がありましたが、現時点ではリスクが大きいと考え、実施
  するまでに至っていません。
  
  土、日、夜間議会を開催する目的は、多くの市民の方に傍聴に来て頂きたい
  からだと思います。
  今までの議会傍聴の実績から見ると、ほとんどの方が市政に対する一般質
  問でした。
  本会議における議案質疑、一般質問では執行部側の答弁が必要です。その
  際、議場に出席している市長、部長だけでは回答に対する情報を持ち合わせ
  ていない場合に備えて、議場裏に担当職員が待機しています。これらの職員
  は、休日出勤や、夜間時間外手当の対象です。現在は、残業、休出した場合
  代休を取得するようになっていますので、多くの部  門で平日業務に支障
   が生じてしまう可能性が高いからです。

  従って、議会優先としても、日常業務に支障が出るならトータル的に判断し、実
  施は見送りとなっています。
  また、全国的に、土、日、夜間議会を行っていた自治体も中止の方向に向か
  っているようです。
  その理由は、思っていたほど傍聴の人数が伸びていない、と言うことの様で
  す。
  この様な理由で実施に至っていませんが、これらの課題があっても実施すべ
  きだと強い要望があれば実施可能だと思います。但し、平日業務への支障に
  ついて、対策案を持っていませんのでお聞かせ頂きたいと思います。

     3. 日当制について私の意見 (まとめ)
  ここまで、述べてきましたが、自分として心掛けでいたことは、目線を出来るだ
  け議員寄りにならないよう、中立な立場で考え、述べるようにしたつもりです。
  なぜなら、自分としては、議員の感性−まちづくりへの情熱や市民感覚−が
  無くなったら議員をやる資格は無いと考えているからです。
  ですから、市民感覚は最も重要な要素であると考えているからです。
  それと、もう一つはこれから市議会議員を目指そうと考えられてる方に、議会
  や議員の仕事、実態を知って頂き、議員になられた時のギャップを少しでも小
  さくして欲しいと思ったことです。

  このページを作った目的は、最初に述べましたがマスコミなどの報道に対し
  ての市民の皆さんの反応が、現在の状況を正しく把握されていない状態で、
  議員や議会に対して同じ論調で話をされていることに違和感や不安を感じた
  からです。
  行政に対する市民参加で、議員不要論まで意見を述べる方がいますが、そ
  れは正しい姿で無いことを伝えたかったのです。
  それよりも市民と議会と行政が一緒になってまちづくりをする新しい形が必要
  なのです。
  この3者のいずれかが強くなって、いずれかが弱くなったりしてはいけないの
  です。

  これについては、議員側にも問題があり、現状を伝えなければいけないと言う
  責任も感じました。
  そこで、急いで作成することにしました。
  また、私のページでは議会運営上のしくみや議員の責務などについては述
  べていませんが、ここまで触れると膨大な量になることはご理解いただける
  と思いますので、(株)ぎょうせい発行の「地方議会議員ハンドブック」、「地方
   議会運営事典」などを参考にして下さい。

  私が述べたかったことは、これらの専門書にも書かれていない議員の日常
  の仕事の多様性や自宅でやっている業務(一般質問の準備、委員長報告書
  の作成、市民要望への対応など)の実態や、それらにかなりの時間が割かれ
  ていること。
  そして、それらが地方議員の基本的な仕事であり日当制にした場合、本議会
  の分だけが支給対象となると、議員活動や質の低下から、憲法で謳われて
  いる市長、議会の2元制の民主主義の崩壊につながって行ってしまうと言う
  ことです。


  従って、議員報酬の日当制については、経費の削減による効果と、それによ
  るマイナス面を充分に考えて議論して頂きたかったからです。

  では、これからの時代どうすれば良いのかと言うことですが、市民の皆さんが
  最も訴えられたいことは、議員が議員らしい行動、議員活動をしなさいと言う
  ことではないのでしょうか。
  議員報酬は日当制でも、現状のままでも良いのですが、議員の地位、身分を
  しっかり保障した上で「議員をどう働かせるのか」、 「市民が議員をどう活用
  し」市長と議会の2元制をうまく利用できる様にしていくことではないのでしょ
  うか。
 
  そうしないと、これからは若い世代の人は議員が出来なくなり、以前の「名誉
  職議員」の時代に戻ってしまうのではないでしょうか。

  また、議員の側は、議会で何があって、どの様に働いているのかを伝えると
  ともに、市民の行政参加への手助けをし、一緒にまちづくりを進めて行く事を
  真剣に考えなくてはいけない
と言うことだと思います。

   
飯能市議会議員 
鳥居のぶあき
2.市議会議員報酬の日当制について    
         
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